ヤフーの象牙取引停止とトロフィーハンティングの話
日本国内の象牙製品のネット販売において、最後の牙城だったヤフオクが、
ついに象牙製品取引停止の決断をした。
2019年の11月1日より、象牙の取引を完全に停止する。
商品の一部の装飾や、パーツにも象牙が使用されているとアウトだ。
三味線の糸巻きや撥、琵琶の装飾、箏の装飾、琴柱、尺八の歌口、
茶道具では、茶杓、茶入れの蓋。書道具では筆の装飾、印材。
骨董品では根付や彫刻。掛け軸の軸先などなど。全部ダメである。
必要な方がいたら、10月31日までは販売の猶予があるので購入を勧める。
しかし、これは、国内の大手eコマースサービスの話で、
国内の全ての象牙製品の取引がダメになったわけではない。
ヤフーや楽天やメルカリなどのショッピングサイトやオークションサイトの話である。
今までは、ヤフーのオークションサイトやショッピングサイトのみ象牙製品の販売を許可していた。
他の会社は、象牙製品の取引を停止を決断するのがもっと早かった。
これからは、象牙製品の取引は、種の保存法を遵守する登録業者の
各店舗独自のECサイトや実店舗での販売になる。
ユーザーが象牙製品を購入できなることは、今の所ない。
ただ、種の保存法の登録業者免許には、期限が決まられており、
更新は可能だとしているが、種の保存法が数ヶ月に度々改正されており、
益々規制が厳しくなっている印象で、どうなるかは、わかららない。
世界に目を向けてみると、「トロフィーハンティング」なるものがある。
アフリカ諸国の一大観光資源だそうだ。
狩猟権なるものをオークション形式でハンターたちが競り落とす。
その売上金は、6億円にもなるそうだ。
その内容は、希少動物のハンティングだ。
ツアーガイドに連れられ、ライオンにライフルを向けぶっ放す。
殺したライオンと記念撮影をし、ライオンの首を剥製として持って帰るそうだ。
ライオン以外にもキリン、シマウマ、ワニ、ヒョウなどなど。一番人気は象だという。
2019年5月に南アフリカのボツワナで象のトロフィハンティングが解禁されたらしい。
これまでは、トロフィハンティングの一時停止措置をしていた。
ボツワナ政府は密猟者は即射殺していた。2015年には52人も密猟者を射殺して問題になった。
ボツワナ政府によると、象が増えすぎて、間引く必要があるという。
象の狩猟権は、象の大きさにもよるが一匹300万円〜400万円だという。
密猟する人間ハンティングをして、増えた象を金持ちにハンティングさせる。
どちらにせよ象は死ぬ。
根本的に象を守るなら、ここら辺にメスを入れなければならない。
ハンティングされた象は、象牙と皮に分けられる。
そんな運命を遂げた象牙も日本に入ってきているのだろう。
象牙を通して、世界の矛盾が見えてくる。
象牙製品は日本文化には必要だと思っているのも、
象牙製品を取り扱う我々のエゴだと思う。
ただ、代替え品がうまく思いつかない。
例えば、箏の音色は、象牙の琴柱とプラの琴柱では雲泥の差がある。
文化を守るか?希少動物を守るか?ハンティングをやめるか?アフリカ諸国の産業を守るか?
次元の違う問題が、象牙を通して、一つのテーブルに置かれた。
このまま行くと、象牙製品は無くなり、象は増えるるが、ハンティングされて結局死ぬ。
象牙を狙う密猟者は減るが、象をハンティングさせるツアーガイドは増える。
狩猟権を取り扱う一部のアフリカの政府役人は潤い、
トロフィーハンティングをするお金持ちは楽しむのだろう。
本気で地球の自然や希少動物を保護するため、
環境をよくするために一番間引かなければいけないのは、人間になってしまう。